第8回山陰研究報告会

公開日 2010.03.01

日 時:2010年02月23日(火) 15:00-17:00
場 所:島根大学法文学部棟2階 多目的室(207)

【報告1】
0801 プロジェクト名「島根県における地域福祉の現状と課題に関する総合的研究」
報告者:加川 充浩 准教授(島根大学法文学部)
報告内容:「高齢者支援における地域包括ケアの現状と課題」


 本報告は、地域包括ケアを推進するための方法論について考察する。地域包括ケアとは、生活上の困難を抱える高齢者(およびその家族)を支援するための、政策と実践をさす。近年、高齢者を地域で支えるために重要とされ、社会福祉援助の政策・実践目標でもある。
 報告の構成は、①地域包括ケアの基本的な解説、②実際にある市で取り組まれた地域包括ケア実践の事例紹介、③地域包括ケアの推進方法の議論、の3つとする。
 事例紹介では、福祉専門職が解決に取り組んだ「困難事例」に着目する。困難事例とは、高齢者とその家族が複数の問題を抱えていたり、既存の福祉サービスだけでは解決をはかることができない問題を有していたりする事例のことである。詳細は当日の報告に委ねるが、この困難事例への取り組みが、地域包括ケア形成の可能性を検討することに適している。
 結論部分では、地域包括ケアを展開するに当たって、①必要な政策、②専門職の援助方法、③専門職と住民の協働の考え方、という3点について論じる。


【報告2】
0802 プロジェクト名「山陰における持続可能な社会の構築に向けた研究」
報告者:橋本 貴彦 専任講師(島根大学法文学部)
報告内容:「島根県におけるUIターン者の動向と自治体政策:UIターン者アンケートに基づいて」

 島根県は、1973年から1985年まで増加基調にあったがその後、24年連続で減り続け、さらに、少子高齢化も同時に進展している。このような人口数と構成の変化は、地域の集落機能の維持、経済活動、市町村毎で運営される国民健康保険制度等の運営に大きな影響を与える。
  この問題に対応して、2000年代以降、全国の各自治体では人口の減少抑制、維持又は増加に向けた取り組み、UIターン政策が行われてきた。本報告では、この政策で成果を上げている島根県下の3つの自治体の協力を得て、UIターン者へのアンケート調査を実施した (2010年1月実施、回答数101)。今回の報告では、この調査に基づいて (1) 3町村のUIターン者の社会的又は経済的階層の特徴、(2) UIターンと県・市町村の行った政策との関連、(3) 総務省UIターン者全国調査との比較、を中心に報告する。