第12回山陰研究報告会

公開日 2011.03.01

日 時:2011年2月23日(水)15時00分~17時00分
場 所:島根大学法文学部2階 多目的室(207室)

【報告1】『出雲歌壇について 』

報告者:芦田 耕一 氏 (島根大学法文学部)@1003プロジェクト「山陰地域文学・歴史関係資料の研究」

 和歌発祥の地とされる出雲地方の、特に江戸時代の歌壇の状況を述べていきたい。

 伝統的な京都二条派和歌を出雲地方にもたらしたのは江戸生れの明珠庵釣月(1659~1729)で、清水谷実業などの門下であり、古今伝授を受ける。出雲や松江に在住、多くの歌人を育てる。

 次に、歌道を興隆させたのが国造家出身の千家俊信(1764~1831)である。本居宣長(1730~1801)の門人になり、古学派和歌を導入し、幕末の出雲歌壇の基礎を築き上げるのである。

 俊信の高弟の国造千家尊孫(1796~1837)は出雲歌人の結社「鶴山社中」をつくり、340人余の出雲国人の歌を集めた『類題八雲集』(1320首)を私家版で上梓する。

 同じく出雲大社権禰宜の富永芳久(1813~1880)は、特に『出雲国風土記』の研究に励み、そこに見られる地名を主に詠みこんだ諸国人の歌を編集して『出雲国名所歌集』を作る。


【報告2】『島根県の中小企業の質的な変容:吉田ふるさと村の事例を中心に』

報告者:橋本 貴彦 氏 (島根大学法文学部)@0802プロジェクト「山陰における持続可能な社会の構築に向けた研究」

 過疎地域での定住策を考える際に,「雇用の場」の確保は欠かすことのできない条件である。そこで,本報告では,島根県下の中小企業の特徴について,一般に企業が困難であるといわれる中山間地域での雇用創出という観点に絞り分析する。

 具体的には,農産加工業の事例(第三セクターY社)に注目し,経営状況や創立時からの歴史的経過などを検討する。最後に,島根県下で今後,企業を新規に創設する場合に参考になる条件などを提示する予定である。

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