日本の出生力転換開始の社会経済要因に関する研究―東西2地域の比較分析〔科学研究費プロジェクト〕

〔科学研究費プロジェクト〕1312 

期 間:2013-2015年度
代 表: 小林 准士(法文学部教授 / 日本近世史学)

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研究会・報告会 

 
  • 2013年度

概要

 

 本研究は,日本の近代化・産業化がその開始にともなって直ちに出生力低下を起こさず,逆に,出生力上昇や出生力の高止まり・停滞を続けた理由を解明し,これによって,それ以前の前近代日本の出生率が欧米に比べて比較的低い水準にとどまっていたこと,また,第2 次大戦後の出生率低下の世界に例を見ない急速さについて,新しい解釈を導くことを目的とする。

 すなわち,近代化・産業化は,まず大多数の人々が家族らしい家族の形成を経験することをもたらし,出生率低下ではなく,むしろ出生率上昇をもたらしたこと,また,結婚年齢を上昇させるものの,結婚出生率は労働強度,栄養水準などが緩和・向上することにより抑制されていた水準から上昇することになったことなど日本の出生力転換の開始期の人口再生産の特徴を明らかにするものである。

研究計画

  1. 西南日本農村の典型としての石見地域およびこれと対比して東北日本農村のひとつの典型としての奥州安達・羽州村山地域について,江戸期の宗門改帳および明治大正期の旧町村別統計により出生力低下開始前の幕末からの出生力上昇とその後の低下について,出生率,結婚率,結婚出生率の指標を算出し,その変動を明らかにし,東西2地域間の比較をする。
  2. 上記2地域の社会経済要因(教育,宗教,農業,金融,商工業,物価,世帯・家族,交通条件,軍事,医療など)について,旧町村別に得られる資料・統計を収集し,それぞれ分析に利用可能な指標を開発・算出し,その変動を明らかにし,2地域間の比較をする。

研究報告書

研究参加者

※プロジェクト代表者は★を付す。

  • 小林 准士(法文学部教授 / 日本近世史学)★
  • 廣嶋 清志(島根大学名誉教授 / 人口学)★
  • 宮本 恭子(法文学部准教授 / 経済学)
  • 橋本 貴彦(立命館大学経済学部准教授 / 経済統計学)
  • 平井 晶子(神戸大学大学院人文学研究科准教授 / 歴史社会学)
  • 小池 司朗(国立社会保障・人口問題研究所室長 / 地理情報分析学)
  • 高橋 眞一(神戸大学名誉教授 / 近代人口統計研究)

 

(5名)