松江橋南地区町絵図を用いた近世城下町の景観復原に 関する学際的研究 -デジタルコンテンツ化を通して-

山陰研究プロジェクト0405 

期 間:2004-2006年度
代 表:舩杉 力修(法文学部助教授)

目的

本研究は江戸後期作成の城下町松江の町絵図を用いて、城下町松江の景観を復原し、城下町松江が山陰地方のなかでどのような役割を果たしていたかを学際的に研究し、デジタルコンテツ化を通じて、絵図資料の保存・活用を目指すものである。研究組織としては島根大学法文学部・教育学部の地理学・歴史学のスタッフを中心に、松江市教育委員会、島根県教育委員会(島根県古代文化センター・島根県立図書館)といった外部組織と連携し、研究会を組織して、本プロジェクトを推進するために必要な作業・分析を深めている。

 

研究発表・報告

  • 2005年度
  • 2004年度

進捗状況

◆2006年度の研究計画と目標

 昨年度までに町絵図の現状調査(基礎的調査)が終了した。今年度は絵図の貼紙をはずし、貼紙部分と原図の部分を分けて撮影を開始し、本格的に写真撮影を実施し、景観復原を目指す。広島大学図書館所蔵の明治初期地籍図の撮影を開始し、江戸末期と明治初期との比較について検討する。絵図の解読作業も継続して実施する。絵図にかかわる関連文書も松江市内外で調査を継続して行なう。なお、プロジェクトは、絵図の現状調査をふまえ、今年度から本格的に調査が開始されるが、プロジェクト自体は最終年度の3年目であるので、3年間の基礎的調査の成果を報告書またはパンフレットとしてまとめることを目指す。具体的な内容は以下の通りである。

  1. 町絵図の写真撮影(白潟天神町、白潟本町・和田見町、白潟魚町、寺町)  
  2. 明治初期地籍図の写真撮影(広島大学図書館)  
  3. 町絵図に記載される文字の解読・記載内容の分析
  4. 市内外での関連文書の調査・分析  
  5. 町絵図に関する講演会の開催(島根大学白潟サロンなど)  
  6. 町絵図に関する聞き取り調査(白潟地区)  
  7. 町絵図に関する研究会の開催(島根大学)  
  8. デジタルコンテンツ化および絵図の公開に関する研究  
  9. 調査成果の一部公開(報告書またはパンフレットの作成)

◆2005年度進捗状況

  1.  未撮影の絵図5点(白潟本町・八軒屋町、和田見町、横浜町・洞光寺、横浜町、横浜町図洞光寺)のうち、現況写真(貼紙部分)を写真撮影し、デジタル化を行なった。
  2. 松江市(歴史資料館準備室・教育委員会)の協力で、昨年度デジタル化した「白潟天神町絵図」の解読作業を行なった。その後解読作業の成果をもとに、記載内容の分析を行なった。
  3. 今年度開催した講演会は以下の通りである。 
    1. 6月25日(土) 島根大学白潟サロン 島根大学白潟サロン講演会
      「新発見 絵図にみる白潟天神町」
    2. 7月26日(火) 皆美館(松江市末次本町) 松江しんじ湖ロータリークラブ例会
    3. 11月4日(金) 松江市白潟公民館 
      白潟公民館講座 「白潟の古地図が伝えること」
    4. 11月26日(土) 島根大学教養講義棟 
      島根大学附属図書館企画展「絵図の世界」
      講演会「絵図のデジタルコンテンツ化の取り組み」
    5. 12月8日(金) 松江市城東公民館 松江市出前歴史講座
      「絵図で見る城下町松江の姿-白潟地区を中心として-」
  4. 松江市(歴史資料館準備室・教育委員会など)とともに、11月23日(水)、天神町で現地調査(井戸のGPS調査、建物の分布調査、古文書調査、聞き取り調査など)を実施した。地元天神町自治会と島根大学白潟サロンの協力と得た(11月5日は現地調査の下見を実施した)。調査成果の一部は、11月26日(土)の講演会で報告を行なった。
  5. 10月6日(木)、10月28日(火)、松江市(歴史資料館準備室・教育委員会など)とともに、絵図と地図との重ね合わせ(GISの活用)について、松江市役所で検討した。2月7日(火)学内プロジェクトメンバーにより、今年度の成果について検討した。
  6. デジタルコンテンツ化の一事例として、独立行政法人情報通信研究機構からの受託研究「マルチメディアテーブルのコンテンツの活用と改良に関する研究」を活用し、「松江歴史マップ」(改訂版)を作成した。 6月25日に、調査成果の一部として、白潟天神町絵図に関するパンフレットを刊行した(11月26日には改訂版を刊行した)。
  7. 11月21日から12月2日まで附属図書館企画展「絵図の世界」で調査成果の一部を展示公開した。
  8. 研究成果の一部は、法文学部の専門教育でも活用され、附属図書館での絵図展の際に、地理学研究室の学生が、絵図の解読・分析・成果発表を行なった。

研究参加者

※プロジェクト代表者は★を付す。

  • 舩杉力修(法文学部助教授)
  • 竹永三男(法文学部教授)
  • 小林准士(法文学部助教授)
  • 作野広和(教育学部助教授)
  • 大矢幸雄(島根県立浜田高等学校校長) 
  • 岡崎雄二郎(松江市教育委員会文化財課)
  • 吉岡弘行(松江市教育委員会青少年支援課)
  • 佐々木倫朗(松江市歴史資料館整備室)
  • 松原祥子(松江市歴史資料館整備室)
  • 安部 登(松江郷土館職員)
  • 新庄正典(松江郷土館職員)
  • 岡 宏三(島根県古代文化センター主任研究員)
  • 浅沼政誌(島根県古代文化センター主任研究員)
  • 品川知彦(島根県古代文化センター主任研究員)
  • 内田文恵(島根県立松江工業高等学校)
  • 北村久美子(島根県立図書館)
  • 飯田奈美子(島根県立図書館)
  • 杉原 隆(元島根県立松江北高等学校)

(18名)