明治期の法と裁判研究--山陰地域との関わりで--

山陰研究プロジェクト0804 

期 間:2008-2010年度
代 表:居石 正和(法文学部教授:日本法制史)

目的

私たちはこの間、「明治期の法と裁判研究会」を組織し、中国地方の裁判所に遺されている史料を調査するとともに、その成果を学術雑誌等で公表してきた。私たちの活動は、林屋礼二「明治期民事裁判の近代化」(信山社、2006年)などで高く評価されている。

これまでの成果を引継ぎ、史料が遺されている裁判所などへの調査をより一層進展させ、とくに、山陰を中心とする明治期の訴訟実務の状況を解明することは、近代的訴訟実務が各地で受容される過程とそのバリエーションを山陰を例として明らかにすることであり、法の近代化が地域において多様な姿で受け容れられていくことを指摘し、法を人々の身近なものにするために必要な方策を明らかにすることに繋がるであろう。

本プロジェクトは、以上の学問的・実務的要請に応えようとするものである。その際、中国地方の他の地域との比較検討も行う。これにより、山陰地方の特徴がより浮き彫りとなるであろう。

サムネイル画像

 

研究発表・報告

進捗状況

2010年度

◆昨年度の進捗状況

◆2010年度計画

2009年度

◆昨年度の進捗状況

  1. 松江地方裁判所が所蔵している裁判事務関係簿冊の整理・調査・目録作成を行った。現在、調査途中である。
  2. 山口地方裁判所が所蔵している裁判所事務関係簿冊の整理・調査・目録作成を行った。現在、整理は完了し、目録作成もほぼ終わっている。これから、本格的な調査を行う予定である。
  3. 広島高等裁判所・地方裁判所が所蔵している裁判所事務関係簿冊の調査を行った。調査途中である。
  4. 広島大学が所蔵している明治期民事判決原本の調査を行った。2008年11月末に、民事判決原本が広島大学から国立公文書館に移管され、この調査は途中で終了せざるを得なかった。

◆2009年度計画

  • 平成21(2009)年4月19日の法制史学会第61回総会での報告(「裁判所所蔵文書から見た戦前期司法の諸相--広島控訴院管内を中心に--」)をふまえ、以下の成果を公表する。
    • 松江地裁,山口地裁で扱った陪審裁判を解明する。
    • 広島地裁,岡山地裁で扱った陪審裁判の記録を紹介する。
    • 明治20年前後の各地の代言人の状況を分析し、史料を紹介する。
  • 以下の調査を継続して行う。
    • 松江地裁,山口地裁,岡山地裁津山支部で保管されている裁判所関係資料の調査・目録作成
    • 広島地裁・高裁で保管されている裁判所関係資料の調査
  • 新たに調査可能な裁判所を問い合わせ、可能であれば調査を行う。
  • 本プロジェクトは、「明治期の法と裁判研究会」(広島修道大学法学部)と共同で行う。

2008年度

◆昨年度の進捗状況

本年度から開始のプロジェクトである。

◆2008年度計画

2008年度は、広島高裁をはじめとする各地の裁判所の史料調査を行い、史料の現存状態を把握するとともに、目録作成・史料撮影などを行う。同時に、史料のいくつかを紹介する。

研究参加者

※プロジェクト代表者は★を付す。

  • 居石 正和(法文学部教授:日本法制史)★
  • 松本 浩平(法務研究科准教授:民法)
  • 加藤 高(広島修道大学法学部名誉教授:民法・法制史)
  • 増田 修(弁護士・広島県弁護士会所属:法律実務)
  • 紺谷 浩司(西南学院大学法科大学院教授:民事訴訟法)
  • 矢野 達雄(広島修道大学法学部教授:日本法制史・法社会学)

(6名)