山陰地方における既掘考古資料の再検討と歴史文化遺産の持続的活用

山陰研究プロジェクト1304

期 間:2013-2015年度
代 表:岩本 崇(法文学部准教授)

目的

 本プロジェクトでは、弥生・古墳時代における山陰地方の地域的な特質を明らかにするための基盤をまずは整えることを眼目とする。
 とくに、社会におけるエリート層が築造した大型墳墓を中心に、墓制にみる集団内・集団間の秩序が存在したのか、あるいはいかに機能していたのかという点を明らかにすることをめざす。具体的には、山陰地方において、重要な位置を占める墳墓出土資料の再検討を実証的に進め、これまで十分な検討の加えられてこなかった基礎資料を現状の研究水準で分析することにより新たな光をあてることを基本的な方針とし、そのうえで墳墓を構成する諸要素の比較検討により、墓制のありようと地域的特質を明らかにする。

島根大学法文学部考古学研究室所蔵
松江市古天神古墳出土鉄刀鍔の象嵌

研究発表・報告

  • 2013年度

進捗状況

◆2015年度

<計画・目標>

東京国立博物館に所蔵されている山陰の重要考古資料について、資料化に着手する。とくに古天神古墳出土品について、島根大学所蔵品とともに資料化の完了をめざして調査を進める。併行して日本海沿岸域の古墳出土鏡を集成し、データベースを作成する。

◆2014年度

<計画・目標>

 東京国立博物館に所蔵されている山陰の重要考古資料について、基本的なデータを得るなど資料化に着手する。なかでも、松江市古天神古墳出土品について、島根大学所蔵品とともに資料化を進める。併行して日本海沿岸域の墳墓出土資料において重要な位置を占める事例について集成する。

<進捗状況>

 東京国立博物館所蔵の山陰の重要考古資料について、資料の現状を把握する作業を実施した。なかでも本学と東京国立博物館が分有して所蔵する、松江市古天神古墳出土の副葬品について、熟覧ならびに実測図の作成など資料化を進めている。古天神古墳の副葬品はこれまでその実態が明らかでなかったが、品目と員数を確認し、形式などから年代的位置をおおよそ確定できた。
 また、併行して日本海沿岸域の墳墓資料のなかでも古墳出土鏡に焦点をあて、集成をすすめた。そのなかで、島根県神原神社古墳や鳥取県伯耆国分寺古墳など三角縁神獣鏡を出土する首長墳を総合的に再検討する作業を実施した。

◆2013年度

<進捗状況>

東京国立博物館所蔵の山陰の重要考古資料について、資料の現状を把握する作業を実施した。とくに本学が所蔵する、松江市古天神古墳から出土したとされる副葬品の出所を明らかにするために、東京国立博物館所蔵の古天神古墳出土品と比較した。

 調査の結果、幸運にも島大資料と東博資料で接合関係を確認し、島大資料が古天神古墳出土品であることを確定できた。また、併行して日本海沿岸域の墳墓資料のなかで重要な事例の集成をすすめた。そのなかで、島根県神原神社古墳や鳥取県伯耆国分寺古墳など三角縁神獣鏡を出土する首長墳を総合的に再検討する作業を実施した。

研究参加者

※プロジェクト代表者は★を付す。

  • 岩本 崇(法文学部准教授/日本考古学)★
  • 大谷 晃二(島根県立松江北高等学校教諭/日本考古学)
  • 古谷 毅(東京国立博物館研究員/日本考古学)
  • 河野 正訓(東京国立博物館アソシエイトフェロー/日本考古学)
  • 岡本 篤志(大手前大学史学研究所研究員/文化財科学)

(5名)