山陰地方における既掘考古資料の再検討による 歴史文化遺産の活用と地域還元

山陰研究プロジェクト1602

期 間:2016-2018年度
代 表:岩本  崇(法文学部准教授 / 考古学)

目的

本プロジェクトは、古くに発掘された、あるいは出土した既掘考古資料の再検討をもとに、歴史文化遺産としての持続的活用を促し、地域還元の重要性を発信することを目的とする。そのため、山陰あるいは出雲の地域を語る歴史資料として不可欠な考古資料を重点的に検討することはもちろん、あまり着目されてこなかった資料の再検討や新たな分析手法を積極的に活用する。

 本プロジェクトが重視するのは、遺跡・遺構・遺物という考古学における「一次資料」そのものである。この一次資料を記録・表現する手段として高精度の二次資料化を試み、その一環として三次元計測など新たな手法も検討するが、一次資料の持続的な活用と保存をめざすことが最大の目的である。

サムネイル画像

 

研究発表・報告

  • 2016年度
    • 第25回山陰研究交流会
  • 2017年度
  • 2018年度

進捗状況

◆【2018年度の計画・目標】

(1)基準資料の再検討

 基準資料の再検討として、2018年度は3つの計画を進める予定である。

①鳥取県倉吉市伯耆国分寺古墳出土品(国指定重要文化財)の二次資料化データを整理・検討し、成果報告書として『伯耆国分寺古墳の研究』として刊行することをめざす。
②島根県安来市にかつて所在した鷺の湯病院跡横穴墓からは金工品の優品が多数出土しているが、報告書が未刊行である。これについて、出土品を所蔵する東北大学考古学研究室と共同して、報告書作成に向けた作業に着手する。まずは全体像の把握と、研究計画を策定する。
③本学考古学研究室が所蔵しつつ、報告書が未刊行となっている松江市金崎1号墳の出土品の整理・検討作業も引き続き進める。今年度は埴輪の資料化を重点的におこなう。

(2)重要資料の集成

「重要資料の集成」として、「北近畿・山陰における古墳出土鏡集成」を継続的に進めてきた。今年度は「(1)基準資料の再検討」に重きを置いた研究活動を展開するため、これまでの実見調査の不足分を補完し、実見成果をもとにデータベースの点検・再整備をおこなう。

◆【2016年度の計画・目標】

 「北近畿・山陰における古墳出土鏡集成」を柱の一つとして進める。古墳副葬鏡を悉皆的に調査し、写真撮影・実測図の作成など二次資料化を進める。また、出土古墳の情報についても蓄積を図る。

 さらに、プロジェクトの発展的展開をめざし、「集成」において重要と判断される古墳を具体的にとりあげ、詳細な検討を試みる。また、現地に遺跡が残る例については、共同研究者を中心とした体制で、小規模な再調査を実施することも試行する。既掘考古資料が周知される遺跡を明確な目的にもとづき調査することによって、文化財の持続的な検討の重要性を強調することがねらいである。

研究参加者

※プロジェクト代表者は★を付す。

岩本  崇(法文学部准教授 / 日本考古学★)

大谷 晃二(島根県立松江北高等学校教諭 / 日本考古学) 

花谷  浩(出雲弥生の森博物館館長/ 日本考古学)

吉松 優希(島根県教育庁埋蔵文化財調査センター主任主事/ 日本考古学) 

藤澤  敦(東北大学総合学術博物館教授/ 日本考古学)

鹿又 喜隆(東北大学大学院文学研究科/ 日本考古学)  

石橋  宏(東北大学埋蔵文化財調査室専門職員/ 日本考古学)

高田 健一(鳥取大学地域学部准教授/ 日本考古学)

古谷  毅(京都国立博物館研究員/ 日本考古学)

 

(9名)