山陰地域考古・民族資料の公開に関するプロジェクト:文化遺産を対象とした資料学の理論体系構築にむけて

山陰研究プロジェクト1607 

期 間:2016-2018年度
代 表:及川 穣(法文学部准教授/考古学・資料論) 

目的

 本研究では、考古・民族資料を対象として山陰地域における文化遺産(文化財)の保存と公開に新たな方法で資する。具体的にはデジタル3D計測によってアーカイブ化を果たし、広く公開する。  

①島大法文学部考古学研究室所蔵出雲市西谷3号墓(国指定史跡)出土品の3D計測とその映像化。

②先史時代遺跡の新たな発掘調査方法・記録方法の開発:初期ホモ・サピエンスの残した遺跡の発掘調査過程を3Dデータとして記録する。遺物接合アルゴリズムと合わせて、新たな資料認識に資する。

③博物館展示による活用:上記①と②の成果を利用した映像資料を制作し、島大ミュージアム、出雲市弥生の森博物館、島根県立古代出雲歴史博物館の常設展及び特別展に資する。

 

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出雲市西谷3号墓出土ガラス製勾玉 

研究発表・報告

  • 2016年度

進捗状況

これまでの研究状況

これまで、東京国立博物館と岩手大学工学部今野研究室、(株)ラングとの共同研究として、考古資料のデジタル3D計測を実施し、資料認識と可視化の議論を展開してきた。

とくに、計測点群を用いた縄文土器の型式論的要素の可視化や文様帯の展開図制作、石器を中心とした遺物の接合面の検索手法を研究し、その成果について東京国立博物館特集陳列などを通じて広く公開し、より解り易い展示手法についても考案してきた。

東京国立博物館 - 展示 日本の考古・特別展(平成館) 石に魅せられた先史時代の人びと

asahi.com(朝日新聞社):石器から見える先史の暮らし 東京国立博物館 - 文化トピックス - 文化
 

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【2016年度の計画・目標】

 本研究の特色は、市民のための文化遺産(文化財)という枠組みを前提として、資料学の理論体系を構築するための実践的な研究活動を展開できる点にある。平成28年度は、法文学部考古学研究室所蔵出雲市西谷3号墓出土品のデジタル3D計測を実施することで、大学の調査研究の成果を広く公開し、発信する。

 山陰地域の文化遺産の3D画像を広く一般に公開することで、誰もが身近に3Dデータを利活用することができる。また、形状や色などの資料に対する公平で定量的な情報をアーカイブすることができる。博物館等の展示では、実物資料に加え、3Dデータを活用した映像資料を製作することで、補完的な情報の提示が可能となる。これら一連の成果や議論を本学学部教育にも還元する。

研究参加者

※プロジェクト代表者は★を付す。

  • 及川 穣(法文学部准教授/考古学・資料論) ★
  • 平郡 達哉(法文学部准教授/考古学)
  • 会下 和宏(島根大学ミュージアム准教授/考古学・博物館学)
  • 稲田 陽介(島根県古代文化センター主任研究員/考古学・文化財行政)
  • 坂本 豊治(出雲市弥生の森博物館主任学芸員/考古学・文化財行政)
  • 横山 真((株)ラング代表取締役・岩手大学教育学部非常勤講師/考古学・アーカイブ論)
  • 千葉 史((株)ラング常務取締役・博士(工学)/情報工学)
  • 遠部 慎(愛媛県久万高原町教育委員会事務局・学芸員)

(8名)