歴史・文化資源を活かした「地域まるごとミュージアム」化実践プロジェクト~島根大学旧奥谷宿舎を取り巻く「ひと・まち・なりわい」をキーワードにして~ 〔島根大学萌芽研究プロジェクト〕

[島根大学萌芽研究]0812 

期 間:2008-2009年度
代 表:

会下 和宏(島根大学ミュージアム准教授・博物館学)
 
田中 則雄(法文学部教授・国文学)
 
竹永 三男(法文学部教授・日本史学)

 

研究会・報告会 

 

概要

◆概要

 現在、島根大学では、松江市奥谷町に残る国登録文化財「島根大学旧奥谷宿舎(旧制松江高等学校外国人宿舎)」を修復し、サテライトミュージアム、生涯学習施設、地域市民・観光客・学生・留学生が集う交流拠点として活用していくことを構想している。この一帯は、本学キャンパスに近いうえ、城下町の街並みが良く残り、歴史・文化資源も豊富に存在していることから、旧奥谷宿舎を核にして、周辺を有機的・面的に結び活用した「地域まるごとミュージアム」化をはかることも計画されている。しかし、こうした遠大な構想を具体的に実現していくためには、ミュージアムコンテンツとなる歴史・文化資源の学術研究、ミュージアム経営、行政・市民との連携、行財政・都市政策等に精通したそれぞれの専門研究者が、協業して進めることが欠かせない。
そこで本プロジェクトでは、空間的には旧奥谷宿舎がある松江市城北地区を核にした出雲地域を、時代的には近世・近代を主たる対象とし、昨年度の本研究プロジェクトでキーワードとした「ひと・まち・なりわい」を継承しつつ分析概念としても発展させ、これをもとにその調査研究と資源化を推進する。具体的には、以下の3項目を柱に実施したい。

地域(ひと・まち・なりわい)と景観(建物・道路・公共空間)の関係構造概念

A.旧奥谷宿舎(建築・居住者)・旧制松江高校(学校史・人物)等に関する調査研究と資源化(「5.各年度の計画の概要」①②⑦)
B.旧奥谷宿舎周辺~松江・出雲の地域資源(歴史・文学等)に関する調査研究と資源化(「5.各年度の計画の概要」③~⑥⑧)
C.旧奥谷宿舎を核にした「地域まるごとミュージアム化」「まちづくり」に関する調査研究と実践(「5.各年度の計画の概要」⑨~⑮)
その際、これらの個別的研究課題を、【〈ひと〉と〈まち〉】、【〈まち〉と〈なりわい〉】、【〈ひと〉と〈なりわい〉】の関係の中で把握するとともに、それらを〈地域(ひと・まち・なりわい)と景観(建物・道・公共空間)〉の概念で総合し、研究者のみならず市民・県民に明解かつ具体的に提示する。
地域のシンクタンクである大学が主導して歴史・文化資源を学術研究・資源化し、さらに自治体・行政機関とも連携しながら大学ミュージアムを通じて地域再生・活性化に貢献しようとする取り組みは、全国的にも先見的で、きわめてユニークである。従来、「経済」と対立的に捉えられてきた「歴史・文化」を「まちづくり」に活かしていくことは、今後のわが国における文化財行政、都市政策においても非常に重要な試金石となる。また、こうした「地域学」研究とその活用の取組は、国内外の他地域においても発展的に応用できるモデルとなりうる。
「地域まるごとミュージアム」化は、従来の大学に対してイメージされてきた「象牙の塔」から脱却し、地域に溶け込んだ大学の創造、地域に根ざした教育研究の振興につながる。まさに、「人とともに・地域とともに」という本学が目指す理念に沿うものである。

◆本研究に関係するこれまでの準備状況など

 本プロジェクトメンバーは、平成19年度島根大学萌芽研究「山陰地方における歴史・文化資源の発掘と活用に関する研究プロジェクト」を始めとする様々な研究プロジェクトにおいて、関連基礎研究や普及啓発事業等の実績を積み上げてきた。

研究成果

研究参加者

※プロジェクト代表者は★を付す。

  • 会下 和宏(島根大学ミュージアム准教授・博物館学)★
  • 田中 則雄(法文学部教授・国文学)★
  • 竹永 三男(法文学部教授・日本史学)★
  • 蘆田耕一(法文学部教授・国文学)
  • 要木純一(法文学部教授・中国文学)
  • 廣嶋清志(法文学部教授・人口学)
  • 相良英輔(教育学部特任教授・日本史学)
  • 大日方克己(法文学部教授・日本史学)
  • 飯野公央(法文学部准教授・経済政策)
  • 作野広和(教育学部准教授・人文地理学)

(10名)