近代山陰の政治と文化 ―「渡部寛一郎関係文書」・「若槻礼次郎関係文書」に見る漢詩と政党政治の関係分析を通して―

山陰研究プロジェクト1401

期 間:2014-2016年度
代 表:要木 純一(法文学部教授 / 中国文学)

目的

 本プロジェクトは、山陰研究プロジェクト「近代松江の政治・文化史的研究―福岡世徳文書・渡部寛一郎文書の調査・整理・翻刻・分析を通して―(2011-2013年度)」の研究活動をより発展させることを目的とする。

  前プロジェクトでは、福岡世徳関係文書の翻刻・公表・分析を基礎に、福岡市長の松江振興策実現のための陳情・情報収集活動の実際を具体的に明らかにし、さらに近代松江の教育家・政治家である、渡部寛一郎の関係文書を調査・整理しながら、おもに渡部の日記の記述や手紙による漢詩文のやりとりを材料として、彼と中央政界の若槻礼次郎や地方政界の高橋義比らとの関係の一端を明らかにした。

  これらの成果を承けて、本プロジェクトでは、渡部寛一郎関係文書の整理研究を引き続き行い、さらに渡部がその後援会長をつとめた若槻礼次郎関係文書(国会図書館蔵)の整理に着手する。これらの資料をもとに、島根県における政党政治の実態を、中央政界との関係を視野に入れながら把握したい。明治大正期において、政治家同士がしばしば漢詩をやりとりする。それらの作品の背後にはさまざまな政治的な思惑が籠められている。渡部寛一郎・若槻礼次郎の漢詩文の作品を通じて、政治と文化の関係の研究を進めたい。

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研究発表・報告

  • 2013年度

進捗状況

◆【2014年度の計画・目標】

  1. 既に収集した「渡部寛一郎関係文書」の写真データ、「若槻礼次郎関係文書」の複写データを全員で共有し、各自で解読・分析ができる史料的条件を確保する。
  2. 漢詩が載せられている可能性のある若槻礼次郎の未収集著作・文書の調査を実施し、漢詩の所在を確認する。
  3. 「渡部寛一郎関係文書」の中、前プロジェクトで未撮影であった教育関係文書(私塾・私学関係文書)の撮影・目録作成を行う。
  4. 石見地域における憲政会・立憲民政党関係文書の残存状況について基礎的調査を行う。
  5. 以上により、年度末までに「渡部寛一郎関係文書目録(稿)」を作成する。

 

研究参加者

※プロジェクト代表者は★を付す。

  • 要木 純一(法文学部教授・中国文学)★
  • 竹永 三男(法文学部教授・日本近現代史)
  • 板垣 貴志 (法文学部准教授・日本近現代史)
  • 大國 由美子(渡部寛一郎文書研究会員・日本近代史)
  • 居石 由樹子(渡部寛一郎文書研究会員・日本近代史)
  • 小林 奈緒子(島根大学職員・日本現代史)
  • 沼本 龍(渡部寛一郎文書研究会員・日本近代史)
  • 本井 優太郎(大阪大学大学院・日本現代史)
  • 内田 融(元島根県公文書センター・日本近代史)
  • 小林 啓治(京都府立大学文学部歴史学科教授・日本近現代史)
  • 大原 俊二(元米子市史編纂事務局長・日本近代漢詩)

(11名)